自給飼料生産支援組織活動事例
  平戸市牧草乾燥生産利用組合

1.地域の概況
 平戸市の総土地面積16,868haのうち耕地面積は2,400haで、耕地率は14.2%(県平均13.4%)。
 農業粗生産額26億7千万円の中の畜産の割合は、約3割で米に次ぐ基幹作目である。
 肉用牛は全て黒毛和種であり飼養戸数593戸、平成12年の飼養頭数3,326頭、うち肥育牛の飼養戸数は7戸(1.1%)、飼養頭数810頭(19.6%)。
 飼養戸数の減少が著しく、最近では飼養戸数の1割程度が高齢化等により経営中止がみられる。
 飼料作物作付面積は235.3haでイタリアンライグラス、えん麦、ソルガム、テオシント等である。

2.組織の概要
組 織 名 :平戸市牧草乾燥生産利用組合(結成:平成11年4月5日)
構 成 員 :28人
年齢構成:42才〜72才(平均:57才)
営農類型:水稲+肉用牛繁殖経営
水稲作付面積⇒20a〜150a(平均:68a)
飼料作物延べ作付面積⇒15a〜310a(平均:84a)
繁殖雌牛飼養頭数⇒2頭〜13頭(平均:5.2頭)

3.取り組みの概要
【1】動 機
 平戸市では2年毎に概ね4頭以上飼養規模農家を対象にアンケート調査を実施しており、 その中で低コスト化及び子牛の付加価値向上を高めるために、 良質乾草給与を目的とした簡易牧草乾燥施設の要望が多くあった。
      アンケート配布数:155戸
      うち簡易牧草乾燥施設の設置希望回答数:34戸
      事業内容について説明会開催後の設置希望者数:28戸、14施設
 〔必要性〕
(1) 乾草調製時期が梅雨期にかかるため、良質乾草を安定確保することが厳しい。
(2) 平戸市で生産された子牛の価格が、他の地域(松浦、北松、生月)と比較して最も 安価である。この要因として、離乳時期の管理不備や別飼い時期の良質粗飼料の給 与不足による発育不足が考えられる。
(3) 外国産乾草のチモシーを平成7年から子牛を中心に給与した結果、子牛の発育が改善され 子牛の価格差も縮まってきたが、購入価格が高いためコスト高となり経営を圧迫している。
     チモシー価格:平成9年64円/kg、平成10年74円/kg
【2】牧草乾燥施設の特徴及び乾草生産計画
 〔特徴〕
(1) 乾草調製が梅雨時期にあたるため、圃場内での自然乾燥では良質乾草の確保が難しいが、 施設を利用することにより品質の安定した乾草生産が可能となる。
(2) 天日と通風を組み合わせた乾燥方式でランニングコストがかからないうえに、 堆積発酵によるカビの発生等も抑えられる。
(3) 施設は、幅5m長さ8mのビニールハウスで、ビニールの材質は強度を持たせるため ウェーブロックという筋が入ったもので厚さ0.14cmのものを使用している。 また、床面にはブロックを並べ、その上にスノコを敷き詰めてあり、 入口の上部に吸入口シャッター、 反対側の下部に換気扇(フルタDB3M−2−1)が1台設置してあるだけの施設であり、 1棟当たりの施設費は約70万円(1u当たり17,500円)と安価である。
(4) 乾草調製はイタリアンライグラスが中心だが、雨にさらされたとうもろこしやソルゴー、 稲ワラ等についても乾燥して貯蔵できるなど多面的な利用が可能である。
 〔乾草生産計画〕
(1)乾草必要量: 「平戸地域和牛飼養管理ごよみ」から子牛(生後〜9ケ月令)、 育成牛(365日)の必要量を組合員の目標繁殖雌牛頭数に生産率等をかけて算出。
1ケ月当たりの乾草必要量:22,140kg
(2)施設必要量: イタリアンライグラスの刈り取りを3回、予乾草の水分を50%、堆積高を1mとして、 4月中旬から7月(110日間)の乾草生産量を算出。
1施設当たり乾草生産量:10,800kg
【3】収穫時期と収量
(1) イタリアンライグラス
播 種⇒9月上旬〜12月中旬
刈 取⇒4月中旬〜5月上旬(2回刈りが主体、圃場で予乾後、乾燥施設内で7〜10日乾燥) 収 量⇒生草3,500kg/回
(2) 夏作物(ソルガム、スーダングラス、テオシント、野草)
刈り取り後、2〜3日間圃場内に広げて予乾草の状態で給与。(乾燥施設を利用する場合もある。)
バヒアグラスは組合員の中の3名が昨年(平成11年)50aに播種。
(3) 飼料作物作付面積
      2,353a(1人当たり平均作付面積:84a)
【4】組合員が保有する作業機械 
  ・トラクター:29台(1名が2台保有)
  ・カッター:29台(1名が2台保有)
  ・自走モア:23台
  ・ロールベーラー:6台(70cm幅)
  ・ヘイベーラー:1台
【5】牧草乾燥施設の事業費及び利用料 
事  業  費 :9,799,020円(県:3,266,000円、市:1,829,000円、自己負担金:4,704,020円)
1施設当たり:699,930円
1m2当たり :17,498円
※自己負担金は、平成11年度に個々から徴収。
利  用  料 : 毎年15,000円/人程度の利用料を徴収する。
利用料は減価償却費(210,000円)、光熱費(150,000円)及び修繕費(50,000円)に充てる。

4.問題点
(1)牧草乾燥施設を効率的に利用するためには乾草収納庫の設置。
(2)夏季の良質乾草の確保のためローズグラス等の作付け拡大。
(3)稲ワラ確保対策のため耕畜連携の強化と耕種サイドの組織育成。



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