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9.肥育もと牛の選定方法

(1)肥育もと牛選定の心得

現在、子牛市場では牛の系統の他に体重を重視した取引が行われています。しかし、 実際には体重は牛の遺伝的大きさと増体能力を示す目安にはなりにくいといわれていますが、 市場では体重しか示されないため、市場出荷牛の中には濃厚飼料を過給して体重を大きくした牛や、 出荷月齢を遅らせて体重を大きくした牛等がみられます。このような牛は概して肥育を始めると、 消化器が弱く下痢や鼓張症を繰り返したり、飼い直しを試みても粗飼料を十分食い込めなかったり、 すでに尿石症になっていたりといったことが指摘されています。
このようなことから、肥育もと牛の購買にあたっては、系統や体重だけに左右されない、 将来性のあるもと牛選定技術を身に付けることが大切です。
では、生体で測定できる部位のうち何を目安に肥育もと牛を選定すればよいのでしょうか。
体尺測定値のうち遺伝的な牛の大きさは体高、十字部高、体長によく現れるので、もと牛選定においてはこれらを重視すべきです。
また、栄養の影響は体重および胸幅等の体の幅に大さく現れることから、 体重は正しい栄養状態で飼育されてきたか否かを判断するための目安と考えます。 体重が栄養不足や疾病等で著しく小さくなった牛は、肥育期間中での増体が悪くなりますが、 正常発育の90%程度であればその後の肥育期での増体に影響は認められないといわれています。
具体的には、月齢8カ月齢、体重240~250kg、体高110cm前後が目安となります。


(2)肥育もと牛の選定基準

 肉用牛の肥育期間は長期にわたります。出荷まで飼いやすく、飼料の食い込みが良く、 将来正常に増体し、体型が崩れない牛を選定することが重要です。 以下に、肥育もと牛としての選定基準を示しました。

  1. 骨組みがしっかりしていること
  2. 背線が平直で力強いこと
  3. 体高に比較して十字部高が高いこと
  4. 飛節が高めであること
  5. 肋張りがよく、胸の深みがあること
  6. 垂れ腹、巻き腹でないこと
  7. 頭が大きすぎず、口や鼻が大きく、顎がよく張っていること
  8. 全体のバランスがとれていること
  9. 皮膚にゆとりがあること
  10. 飼い過ぎでないこと
  11. 肩付き、歩様がしっかりしており、蹄が大きめであること
  12. 前肢の管骨が細目のこと(骨じまりのよいこと)
  13. 尻幅があり、ももの厚みが十分なこと
  14. 元気、活力があること
  15. 陰毛に白色結石の付着がないこと
  16. 下痢や軟便でないこと
  17. 被毛は光沢があり、脱毛等がないこと
  18. 皮膚に発疹や真菌症がないこと

表8-1.健康観察の方法

項 目正常の状態異常な状態疑われる病気及び状態
元気
食欲
食欲旺盛
元気
不振・減少した場合
群から離れている
消化器病・発熱性疾患・歯疾患・
栄養障害
挙動活発、歩様は軽
くて確実
不穏、怒責、苦悶、沈うつ、
異常な興奮、旋回、けいれん、
麻痺跋行、歩様の異常、
関節の腫れ
内臓の疼痛・中毒
感染症・B1欠乏症
蹄病・打撲・捻挫・関節炎・代謝病
体温初生牛
38.5~40.5℃
幼 牛
38.0~39.5℃

41.0℃以上

40.0℃以上
細菌・ウイルス性疾患・呼吸器病
呼吸10~30回/分呼吸困難・腹式呼吸
呼吸数増加
重度の呼吸器病・気管狭窄
呼吸器病
反芻6~8回/日
反芻の開始は
 食後30~70分
1反芻持続時間
 40~50分
減少、緩徐食滞・鼓張症・胃腸炎
熱性疾患(発熱時)
鼻鏡適度に湿り、
冷たい
乾燥
鼻漏
熱性疾患
呼吸器性疾患(肺炎等)
温和で活気が
ある
多量の流涙、眼ヤニ
粘膜の黄色化
結膜の充血
呼吸器病の初期・結膜炎・流行熱・
黄疸
貧血・内部寄生虫病・栄養障害
被毛光沢あり光沢なく脱毛
陰毛先端部に白色
小結石の付着
栄養障害・皮膚病
尿石症

 


図9-1.子牛の体尺部位

 


 

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