5.哺育子牛の飼養と管理



図5−1.良好な発育に必要な養分量と
母乳からとる養分量の関係(宮重1984)
(1)正常な哺乳子牛の発育
 正常な哺乳子牛の発育には母牛の乳量と別飼い飼料が必要です。
 子牛の正常な発育に要する養分量のうち母乳からの補給でも十分間にあうのは、 生後1カ月頃まで(哺乳量で異なる)で、それ以降は別飼い飼料が必要となります(図5−1)。

(2)別飼い飼料の役割

図5−2.発育と胃の発達(寺田ら1970)
 子牛は生後1週間もすると濃厚飼料や乾草などの固形飼料を食べ始めるようになり、 この固形飼料の摂取が反芻胃を刺激し発達を促進します。このため、早くから別飼い 飼料を与えることが必要です。
 また、第1・2胃の発育期は、8カ月齢を中心として3〜13カ月齢であるといわれています (図5−2、表5−1)が、濃厚飼料だけでは胃の正常な発達は望めず、 乾草などの良質粗飼料を同時に給与することが大切です。
 良質の固形飼料を与えた子牛の胃袋は、母乳のみで育てた子牛に比べ発育が良く、 胃の機能もより発達するので、別飼い飼料の餌付けは早めに心がけます。

表5−1.子牛の胃の発達状況 
 第1・2(反芻胃)第3・4胃反芻胃の成牛時に
対する比率
生時0.25L(42%)0.34L(58%)0.3%
10日0.65L(68%)0.31L(32%)0.8%
3カ月4.7L(75%)1.6L(25%)6%
6カ月27.2L(88%)3.8L(12%)35%
成牛78L(93%)6L(7%)100%
(寺田ら 1970)


(3)別飼い飼料給与量の目安(図5−3、表5−2)
 別飼い配合飼料の養分含量は、TDN70%、DCP13%前後のものが適当です。
 健全な子牛の発育のために、哺乳量の多少にもよりますが、配合飼料は体重の 1.0〜1.3%を目安とします。なお、これ以上与えると過肥になり肥育成績が低下します。
 粗飼料は良質の乾草を準備し、飽食給与します。4〜5カ月齢以降、良質のサイレージに 代替えできますが、下痢の発生に十分注意します。
 飼料は毎日計量給与し、残飼が無いようにします。残飼は変敗しやすく、下痢等の原因になります。

表5−2.子牛育成期間中の飼料給与総量の目安(kg)
種 類雌(0〜9カ月齢)去勢(0〜8カ月齢)
良質乾草410〜520410〜490
配合飼料470〜370400〜320
注:良質乾草の給与が多い場合は配合飼料は少なくなる


(4)管理
1)体重・体高測定
定期的に少なくとも毎月1回測定し、正常な発育であるのか給与量は過不足ないかどうかを点検します。
2)運  動
この時期は、将来繁殖牛・肥育牛としての能力を十分発揮できるように体を作る期間であり、 筋肉・骨格など丈夫に発達させるためにパドック等での運動が大切です。


去勢子牛
発育の目安
月齢12345678
体重 kg537294119146176207240
体高 cm79859196100104108111
(全国和牛登録協会1989)


雌子牛
発育の目安
月齢123456789
体重 kg517396118141164186209231
体高 cm7481879296100103106109
(日本飼養標準1987)


図 5−3.濃厚飼料および良質乾草給与量の目安
 配合飼料上限の数値は体重の1.3%、下限の数値は体重の1.0%を示しています。 また、配合飼料を上限の量で給与した場合、乾草の給与量は下限の数値が目安 となり、配合飼料の給与が下限の場合乾草量は上限の数値が目安となります。