4.母牛の泌乳量と子牛の発育


(1)肉用牛(黒毛和種)の泌乳(哺乳)量
 母牛の泌乳量は産次、栄養水準、分娩季節などの影響を受けます(図4−1、表4−1)。が、 固体によるばらつきも非常に大きいことが指摘されています。

図4−1.産次別乳量の推移(黒毛和種)(島田ら1987)


表4−1.産次別および季節別乳量
項   目頭 数平 均182日間
全平均
産 次
877頭4.55kg828kg
11493.62659
22474.76866
31444.93897
41274.99908
5805.25956
6325.16939
7375.06921
8424.21766
9193.00546
季節 
春(3−5月)2095.15937
夏(6−8月)2664.60837
秋(9−11月)2144.03733
冬(12−2月)1884.44808
(島田ら1988,から作成)


(2)哺乳量と子牛の発育
 哺乳子牛の発育と母牛の泌乳量には高い相関関係があります。
 しかし、母牛がどれくらいの乳量を出しているかは、肉用牛の場合測定するのは困難です。
 そこで、ある時点での子牛の体重と増体重から推定することが可能です(表4−2)。

表4−2.子牛の体重および増体量からの授乳量の推定
項目項目
日齢体重
kg
増体量(kg/日)日齢体重
kg
増体量(kg/日)
0.4 0.6 0.8 1.00.4 0.6 0.8 1.0
30505.9 6.1 6.3 6.430456.3 6.4 6.5 6.6
556.5 6.8 6.9 7.1506.8 6.9 6.9 7.0
607.2 7.4 7.6 7.7557.3 7.3 7.4 7.5
60704.6 4.9 5.0 5.260655.5 5.5 5.6 5.7
805.8 6.0 6.2 6.3705.9 6.0 6.1 6.2
905.8 7.1 7.2 7.4756.3 6.4 6.5 6.6
90903.5 3.7 3.9 4.090804.1 4.1 4.2 4.3
1004.5 4.7 4.9 5.0904.9 5.0 5.0 5.1
1105.4 5.6 5.8 5.91005.7 5.8 5.8 5.9
1201152.9 3.2 3.4 3.51201103.8 3.8 3.9 4.0
1304.1 4.3 4.5 4.61204.5 4.6 4.7 4.8
1455.1 5.3 5.5 5.61305.2 5.3 5.4 5.5
1501452.6 2.9 3.0 3.21501403.2 3.3 3.4 3.5
1653.6 3.9 4.0 4.21503.9 3.9 4.0 4.1
1854.3 4.5 4.7 4.91604.5 4.6 4.6 4.7
1801752.0 2.3 2.4 2.61801601.8 1.9 2.0 2.1
1952.6 2.8 3.0 3.11752.7 2.8 2.8 2.9
2152.8 3.0 3.2 3.31903.5 3.6 3.7 3.8
(寺田ら1979)
増体量は、ある日齢から続く14日間の子牛の1日当たり増体量
利用例)条件:雌子牛
       60日齢の体重70kg、
       74日齢の体重78kgの場合
 1)増体量(kg/日)=(78−70kg)÷14日≒0.6
 2)表の雌子牛を選択。60日齢70kgで、増体量0.6kgを読むと、この時の授乳量は6.0kgと推定される。



(3)哺乳量推定の意義
 哺乳量の推定には以下のような意義があります。
 定期的に子牛の体重を測定し、子牛の発育状況を把捉するとともに、母牛の泌乳量の推定を行い、 飼料の適正な給与に努めます。
 1)母牛の効率的な飼料給与のため哺乳量に応じた増飼いをおこなうため。
 2)哺乳量不足による子牛の発育遅延の早期発見につながる。
哺乳量が少ないと判断される場合は、補食として栄養濃度が高く、嗜好性がよい
別飼い飼料(モーレット等)を用いる等の対策が必要です。
 3)母牛の更新時の目安となる。


(4)育成期の管理と泌乳量
 離乳後から高栄養水準で育成した雌牛は、乳房の乳腺組織の発達が抑制され、 成牛になってからの泌乳量が低下することが知られています(表4−3)。 泌乳能力を十分引き出すためには育成期の飼養管理が大きな鍵を握っています。
 育成期(離乳から繁殖供用開始頃まで)の発育としてはDG0.5〜0.75kg程度、 それ以降(初産分娩まで)は0.3〜0.5kg程度が目安となります。

表4−3.育成期の栄養水準と泌乳量および産子の発育(kg/日)
処 理*育成期の発育泌乳量**産子の発育
1〜8カ月9〜16カ月1産2産3産1産2産3産
高栄養0.780.622.202.011.900.460.530.63
標 準0.600.574.225.485.670.620.891.04
低栄養0.390.364.014.555.930.590.670.98
(中西ら、1978から作成)

*1〜8カ月齢までを育成前期、9〜16カ月齢までを育成後期とし、それ以降は正常発育値に合致するよう管理
高栄養:飼養標準の130%、標準:100%、低栄養:70%
**13週間の平均(ミルカー搾乳)